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飲食店設備は「衛生・省エネ・安全」の三本柱で決まる

飲食店の設備は “何を買うか” より “どう配置し、どう管理するか” が成否を分けます。ここでは開業準備中の方向けに、厨房レイアウトから補助金活用までを具体的に整理しました。

飲食店の設備は “何を買うか” だけでなく “どう配置し、どう管理するか” が成否を分けます。ここでは開業準備中の方向けに、厨房レイアウトから補助金活用までを具体的に整理しました。

目次

厨房レイアウトの基本――動線とゾーニング

調理・盛付・洗浄の経路が交差すると、汚染源を店内に広げるリスクが高まります。まずは作業を「食材受入 → 下処理 → 加熱 → 盛付 → 洗浄」に並べ、その順路を逆戻りさせない導線を決めましょう。

動線を分けて交差汚染を防ぐ

  • 下処理区画と加熱区画の間にステンレス製パス台を置き、一方通行で食材を受け渡す
  • 洗浄した食器は専用棚で自然乾燥させ、調理スペースに戻さない

シンク・作業台の専用化

厚生労働省の手引書は「解凍用・野菜用・洗浄用シンクを可能な限り分ける」と明記しています。専用化が難しければ、作業ごとにシンクを徹底洗浄し、色分けしたまな板で区別しましょう。

HACCPに基づく衛生設備チェックリスト

HACCP制度化以降、保健所の立入検査では「記録に残せる設備管理」が重視されています。

二槽シンクと消毒設備

  • 二槽シンク+殺菌水槽があれば、洗浄 → すすぎ → 消毒の流れが確実
  • 60 ℃以上の温水器と次亜塩素酸ナトリウム溶液を併用すると洗浄効率が向上

温度管理を支える冷蔵・冷凍機器

  • 食材別に庫内温度を 3 ℃/-18 ℃でゾーン管理
  • 記録用のUSBデータロガーを庫内に設置し、週次で温度推移を保存

省エネ視点で選ぶ厨房機器

電気・ガス料金が高止まりするなか、初期投資で省エネ機器を選ぶと毎月のキャッシュフローが安定します。

高効率冷凍冷蔵庫と補助金

経済産業省の「省エネ投資促進支援事業費補助金」を活用すると、冷凍冷蔵庫更新に対し最大1/2補助が受けられます。

IHや高効率ガス調理器の導入メリット

  • 立ち消え防止機構付きガスレンジはCO₂排出量を約15 %削減
  • IHコンロは夏場の厨房温度を下げ、空調費も抑制

快適で安全な換気と空調

調理火力が大きい日本の飲食店では、換気不足が労務トラブルに直結しやすい点に注意が必要です。

必要換気量の目安と計算式

  • 厨房体積 × 40〜50回/h = 必要風量(m³/h) が基本目安
  • 排気フード面積 × 0.3〜0.4 m/s × 3600 = 必要風量
    計算した 3 方式のうち最大値を採用するのが推奨手順です。

夏の暑熱対策と従業員の健康

  • 外気導入量を増やしつつ、排熱フードを機器上方に集約
  • スポットエアコンや送風機で体感温度を下げ、熱中症リスクを軽減

防火・消防基準を満たすために

焼き台・フライヤーを置く場合、自治体消防条例で自動消火装置や不燃ダクトが義務化されるケースがあります。機器選定時に施工会社へ確認しましょう。

自動消火装置とダクト清掃

  • フード内に粉末または液体薬剤ノズルを設置し、温度ヒューズで自動放射
  • 年 2 回以上のグリスフィルター洗浄・ダクト清掃で火災保険料が減額される場合あり

設備導入スケジュールと資金計画

設備は発注から納品・据付まで最長 2〜3 か月かかるものもあります。

物件契約から開業までのタイムライン

フェーズ期間の目安主な作業
物件契約ガス容量・電気容量の確認
基本レイアウト設計契約後 1〜2 週厨房寸法・動線決定
機器発注契約後 3 週補助金要件を満たす仕様で見積取得
施工・据付契約後 6〜8 週給排水・換気ダクト・消防工事
保健所・消防検査契約後 8〜10 週設備完成後に申請

補助金申請の流れ

  1. 公募要領を確認し、事業計画書を作成
  2. 見積書・カタログを添付して電子申請
  3. 採択後に機器を発注・領収書提出
  4. 実績報告が受理されると交付決定
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